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05.11.2005

ルールの制定、推理の開始

ひぐらしのなく頃に(4)

 『鬼隠し編』終了。
読み終えるのに、だいたい10時間ほど。 確かに雰囲気は、横溝正史の『八つ墓村』に似ている。 僕はどちらかというと小野不由美の『黒祠の島』を連想したが(ある意味ネタバレだよなこれ)。
まあ、どちらにせよ、面白い作品だ。非常にオススメである。

 以下、『ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編』のネタバレあります。

 ここから先は、読者を無視して書いていく。

 まず第一に、推理可能なのかこれ。 シナリオ読了後、「おたのしみ会」という名の登場人物たちによる座談会があって、 キャラクタ同士が推理合戦をする、という趣向がある。というか、これを読まないと次のシナリオに進めない仕様だ。

 おたのしみ会の概要を簡単に述べるなら、事件の犯人について人間派と祟り派に分かれて争う、というものだ。 これを正直に受け取ると、犯人は人間以外でもオーケイということになる。

 だとすると、この事件は簡単に説明がつく。 一言だ。
「原因は祟りである。」
句点を入れてもわずか9文字。 全ての謎に矛盾も残らない。 これ以上シンプルな解答はないだろう。 なんだ、パッケージ裏の正解率1%はフェイクだったか、 ふふふん、……というわけにも行くまい。
これでは、読者は怒る。

 ミステリというものは、ルールが多いジャンルだ。
あれはダメ、これはダメと、とにかくうるさい。 「ひぐらし」もミステリ要素が強いのだから、このミステリの規則に則って考えても問題ない気もする。 つまり、祟り説は却下だ。

 しかし、ルールが解らないな。 どこまでが良くて、どこまでがダメなのか。 線引きが解らない。 とても、全てが人間の犯行とも思えないし、 いくらかは偶然的要素、つまり事故だとかそういうものも絡んでくるのが妥当か。

 ルールが提示されないのなら、自分で作るしかない。
制定しよう。 祟りだとか超常現象的解決はなく、自然現象に基づいた合理的かつ理論的な解答で事件に説明がつくこと。
とりあえず、今はこれだけで良しとする。


 さて、始めるか。
謎が分散している場合、視点人物に関連性の強い事象から手をつけるのが解りやすいと思う。 事故か他殺か解らない事件は後回しだ。
となると、まず最初に取りかかるべき事柄は、 「時計の裏に隠したメモの一部を破ったのは誰か」、という謎だ (メモとは、主人公が事件についてメモしたノートのことである)。
これは、事故でも偶然でもなく、人間の仕業と断言できる。

 なぜ破ったのか。 自分にとって不利なことが書かれているなら、普通はメモごと処分する。 それをしなかったということは、警察の捜査を誤った方向へ誘導するため残した、と考えるのが妥当だ。

 つまり、破り取られた個所は犯人にとって都合が悪く、 そのまま残された個所は偽情報である可能性が高い、ということになる。

 残された個所と破られた個所を箇条書きにすると、

【残された】

  • 主人公が命を狙われる理由は、祟りと関係がある
  • レナと魅音は犯人の一味
【破られた】
  • 最初の犠牲者は生きている
  • 富竹の死は未知の薬物によるもの
となる。
残された個所を反転させ、破られた個所とくっ付けると。
  • 主人公が命を狙われる理由は、祟りとは関係ない
  • レナと魅音は犯人の一味ではない
  • 最初の犠牲者は生きている
  • 富竹の死は未知の薬物によるもの

 上の条件が正しいと仮定し、ここでもう一度メモを破った人間について考えてみる。 単純に考えれば、破った人間=犯人、という等式が立つ。 犯人ではなく、別の形で事件に関わっている人物かもしれないが、考えるのが面倒なので犯人に仕立て上げる。
ただし、犯人といってもいくつも事件があり、その全てをメモ隠蔽犯がやったかというと、それは難しい気がする。
薬物の存在を隠したがっていることから、少なくとも富竹の事件には関わっていると考えて間違いないが。


 しかしまあ、ここで早くも問題が挙がる。 未知の薬物という存在はミステリではご法度だ。 祟りと程度が同じである。 しかし、薬物という記述とそのときメモに添付した注射器までもが隠蔽されていることから、 未知ではないにしろ、その場に注射器やそれを匂わす個所が隠蔽犯にとって都合が悪かったとは考えられないか。 つまり、薬物、または注射器そのものが隠蔽犯のメタファであるか、そのものズバリ隠蔽犯の持ち物である、という可能性。

 薬物や注射器で連想するのは、医者である。
医者といえば、鷹野と名乗る女性が看護師だったはずだ。 メモを隠したのは彼女なのだろうか。


 そこで、隠蔽犯が隠したもうひとつの条件「最初の犠牲者は生きている」を考えてみる。 なぜ隠したかったか、これも単純に考えれば、隠蔽犯=最初の犠牲者=バラバラ殺人の被害者、である。 しかし、これはありえない。

 全てではないにしろ、被害者の遺体は見つかっている。 時代背景を考えると、DNA鑑定はないにしろ、確か被害者の頭部は見つかっていたはずだ。
しかし、隠蔽犯はわざわざこの部分を破り取っている。

 被害者がバラバラであることは関係ない、という考え方もある。 つまり、犠牲者が生きている、という部分が問題だった、ということだ。 バラバラ殺人は遺体が発見されているので、それ以外の事件、祟殺しと鬼隠しの被害者のいずれかが生きている、ということを知られたくなかった、ということだろうか。

 つまり、過去の犠牲者=隠蔽犯。
この条件は上の薬物から連想した鷹野看護師にも当てはまる。
彼女は、祭の当日に失踪(鬼隠し)している。


 よって、結論はこうなる。
メモの破かれた部分「薬物」「被害者は生きている」の二つを満たす鷹野が、 メモを改竄し、富竹の死に関わってる可能性が高い。

 ふう。眠くなってきた。

 しかし、この推理には穴が多すぎるな。 なぜ鷹野はメモの隠し場所を知ることが出来たのかとか、 薬物や注射器を持ちこんだのはレナや魅音であるとか、 いろいろおかしなところが出てくる。

 とりあえず『鬼隠し編』だけで推理するのは無理がある。 ここで推理の手は止めて、本編を進めるのが健全だ(← 一種の降参)。






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