
座頭市
ベネチアなんとか賞を受賞したらしい北野監督作品『座頭市』を観た。
感想を簡潔に書くなら、すごく楽しめた。
映画館で見た人によると幾らかカットされてたらしいが、そんなことは特に気になることも無く、
なんだろう、いつだったか地上波でやってた『BROTHER』を観たときはちっとも面白く感じなかったのだが、『座頭市』では奇妙なぐらいに作品と僕の波長が合った。
ただ単にヤクザ映画が合わなかっただけかもしれないが。
まず音楽がいい。
冒頭、農民が鍬で畑を耕すシーンがあるのだが、鍬が土をザクザクえぐる音がいつのまにかリズムを取り始め、バックで流れている音楽と調和する。
他にも、雨の中、じゃばじゃば足で泥水を蹴る音が、カンナで木材を削る音が、釘を打つ音が、それぞれ軽快なリズム刻み、音楽となる。
なんて言ったか、スマップだかスタンプだか詳しい名称は忘れたが、楽器ではなく、箱やバケツを叩いた音でもってリズムを形作るあれで、これがなかなかどうしていい感じだった。
また、随所に入る“笑いを誘う場面”が作品をいい雰囲気にさせている。
これは戦争を扱った映画みたく重厚で崇高な作品ではなく、娯楽映画なのだということを示していて、観ているこっちも肩の力を抜いて楽に観れた。
僕はブランドというものに抵抗があって、「○○賞を取ったから面白い」とか「あの監督作品だから大ヒット間違い無し」とかに酷く嫌悪感を抱く
屈折した精神をしてるんだけど、この『座頭市』、ベネチアなんたらも伊達じゃないな、と思った。
それと、これは誰からも賛同を得られなかったことだが、『座頭市』を見ている間、何度か『となりのトトロ』が頭に浮かんだ。
何故トトロなのか。どこがどうトトロなのか。自分でも解らない。